平時も発災時も安心!デジタルハザードマップで築く家族のための避難連携術
共働きで子育て中の皆さまにとって、集中豪雨や水害への備えは、時間の確保が難しい中でも喫緊の課題ではないでしょうか。特に、ご家族の安全を最優先に考え、自宅だけでなく通勤経路や子どもの通学・通園経路といった生活圏全体のリスクを把握し、いざという時に家族全員がスムーズに避難できる体制を整えることは非常に重要です。
このサイト「地域の水害リスク情報局」では、デジタルツールを賢く活用し、忙しい日々の中でも効率的に防災対策を進めるための情報を提供しています。今回は、スマートフォンで手軽にアクセスできるデジタルハザードマップを核に、家族で実践できる「避難連携術」に焦点を当ててご紹介いたします。
1. デジタルハザードマップで生活圏全体のリスクを「見える化」する
ご自身の居住地域だけでなく、日々の生活で移動する場所のリスクを把握することは、水害から家族を守るための第一歩です。デジタルハザードマップを活用すれば、短時間で必要な情報を確認できます。
- 自宅周辺のリスク確認
- 各自治体のウェブサイトで公開されているハザードマップにアクセスし、自宅の浸水想定区域や土砂災害警戒区域などを確認しましょう。多くの場合、地図上で視覚的にリスクの高いエリアが色分けされています。
- 過去の災害履歴や地形情報を確認できるサイトもありますので、合わせて確認することで、より具体的なリスクを把握できます。
- 通勤経路、子どもの通学・通園経路のリスク確認
- 地図アプリやデジタルハザードマップ上で、普段利用する道路や公共交通機関のルートをなぞり、その経路が浸水区域や土砂災害警戒区域にかかっていないかを確認してください。
- 特に、アンダーパス(立体交差の低い部分)や河川沿いの道は、短時間で浸水するリスクがあるため注意が必要です。代替経路もいくつか検討しておきましょう。
- 子どもの学校・保育園周辺のリスク確認
- 子どもの学校や保育園がどのようなリスクを抱えているか、避難場所はどこか、どのような避難計画があるかを事前に確認しましょう。学校から配布される防災計画なども参照してください。
2. 家族のための避難連携術:平時からの準備がカギ
「いざ」という時に慌てず行動するためには、平時からの家族での情報共有と準備が欠かせません。忙しい中でも、短時間でできることから始めましょう。
- 家族で避難場所と避難経路を確認する
- 自治体指定の避難場所だけでなく、より安全な親戚・知人宅なども含め、複数の避難先を検討しましょう。
- デジタルハザードマップ上で、自宅から避難場所までの経路を複数確認してください。浸水リスクの高い道路を避け、安全な高台を通るルートなどを家族で共有することが重要です。
- 実際に歩いてみることで、子どもの足でどのくらいの時間がかかるか、危険な場所はないかを確認できます。
- 「マイ・タイムライン」の簡易版を共有する
- マイ・タイムラインとは、水害の際に住民一人ひとりが「いつ」「何をするか」をあらかじめ決めておく行動計画のことです。
- 例えば、「大雨警報発令で子どもの迎え」「高齢者等避難が発令されたら避難準備」「避難指示で避難開始」といった、具体的な行動とその判断基準を家族で話し合い、簡潔にまとめておきましょう。
- デジタルネイティブの皆様には、家族共有のメモアプリやカレンダーアプリに登録するのも有効です。
- 家族がバラバラの時の連絡方法と集合場所を決める
- 災害時には、電話が繋がりにくくなることがあります。家族間で連絡が取れない場合の連絡手段(災害用伝言ダイヤル171、SNS、災害時用Wi-Fiなど)を事前に決めておきましょう。
- 一時的な集合場所(自宅付近の安全な場所、子どもの学校など)と、最終的な集合場所(避難場所など)を決めておくことで、スムーズな連携が可能です。
3. スマートフォンが命綱!発災時の情報収集と行動
スマートフォンは、災害時に最も頼りになる情報ツールです。日頃から活用方法を確認し、いざという時に最大限に役立てられるように準備しましょう。
- 防災アプリ・自治体LINEの活用
- お住まいの自治体が提供する防災アプリやLINE公式アカウントを登録し、緊急情報や避難情報がプッシュ通知で届くように設定しましょう。
- 気象庁のアプリや、河川の水位情報を確認できるアプリも合わせて活用することで、多角的に状況を把握できます。
- 信頼できる情報源の見極め
- SNSでの情報拡散は早いですが、不確かな情報も多く含まれる可能性があります。自治体、警察、消防、気象庁など、公的機関が発信する信頼できる情報を優先的に確認するようにしましょう。
- 非常持ち出し品リストのデジタル管理
- 非常持ち出し品は、優先順位をつけ、スマートフォンでリスト化しておくと便利です。子ども用品(おむつ、ミルク、着替え、おもちゃなど)も忘れずにリストに加えてください。
- 家族で共有できるクラウドストレージにリストや重要な書類の写真を保存しておけば、スマートフォンを紛失してもアクセスできる可能性があります。
- 子ども連れ避難の具体的な注意点
- 避難時は、子どもの安全を最優先に考えましょう。抱っこ紐やおんぶ紐は両手が空くため、避難時の移動に役立ちます。
- 子どもの心身のケアも重要です。非常食の中に子どもが好むものや、気分転換になるおもちゃなどを少量用意しておくと良いでしょう。
4. 短時間でできる!デジタル防災準備チェックリスト
忙しい共働き子育て世代のために、短時間でできるデジタル防災準備をリストアップしました。
- 10分でできること
- □ 自治体提供のデジタルハザードマップで自宅・職場・学校のリスクを確認する。
- □ 防災アプリ、自治体LINE、気象庁アプリをダウンロード・登録し、通知設定をオンにする。
- □ 家族の緊急連絡先リストをスマートフォンに登録し、家族で共有する。
- 30分でできること
- □ デジタルハザードマップで避難場所と複数の避難経路を確認し、地図アプリにお気に入り登録する。
- □ 家族で、災害時の連絡方法と一時的な集合場所、最終的な避難場所を話し合い、メモアプリなどに記録する。
- □ 非常持ち出し品リストをデジタル化し、子ども用品も含めて項目を整理する。
- 休日にできること
- □ 家族で実際に避難経路を歩いてみて、危険箇所や所要時間を確認する。
- □ 家族みんなでマイ・タイムラインの簡易版を作成し、具体的な行動基準を話し合う。
- □ 非常持ち出し品を実際に準備し、定期的に内容を点検する。
まとめ
デジタルツールを賢く活用することで、忙しい共働き子育て世代でも、効率的に水害への備えを進めることができます。デジタルハザードマップでリスクを把握し、スマートフォンを活用して家族の避難連携体制を構築することは、ご家族の安全を守る上で非常に重要です。
平時からの備えが、いざという時の安心に繋がります。今日からできること、ほんの少しでも良いので、ぜひ取り組んでみてください。